なんで柔道は金メダルが一つしか取れなかったのか

http://london.yahoo.co.jp/news/detail/20120806-00000074-mai
http://www3r.nhk.or.jp/news/r/web_tokushu/0804.html
柔道の大不振は今後黒歴史と呼ばれそうだよなぁ…特に男子は金メダルゼロに終わって実際ついったーでも監督に生卵投げようぜと呟いていた奴もいたので(実話)、「男子柔道は腹をくくって死すべきだ」とか言いそうな輩がいてもおかしくないんですよね。確かにこんなはずじゃなかったのになぁ…なんて思ったんだけど、そもそもなんでこんな結果に終わってしまったのだろうか…いろいろ考えてみたのですがやはり「柔道と言うスポーツはもはや日本のものではない」と言う結論にたどり着きそうな気がします。
まず、いろいろと試合を見ていて思ったのは、まず従来の「一本勝ち」に固執しているんじゃないか、と言うところがありました。試合を見ていると多くの国の選手が一本勝ちよりも、制限時間5分+延長戦3分の中でいろいろな技をかけてポイントをこつこつ稼ぐスタイルの方が圧倒的に多かったフシがあります。日本の柔道での一番美しい勝ちパターンは「オール一本勝ちで金メダル」だったと思うのですが、そんな一本でズバーン!と言う戦いをさせてもらえなかったってところがあったんじゃないかと。
それと、やっぱり海外の選手の躍進ですよね。日本では技にこだわっていたけれど、海外の選手は技ではなく力でねじ伏せるスタイルの方が多かったのかもしれない。それは先ほど述べた一本勝ちよりも制限時間内でポイントを稼ぐ戦法が目立った事と共通するようなところもあります。それと、初めて柔道でメダルを取った国(もしくは選手)が多かった印象もある。ロシアは男子で初めての金メダルを取ったり、アメリカの選手も初めて柔道で金メダルを取ったって言う話だったなぁ…しかもその選手は号泣していました。さらにはイギリスのベテラン選手がロンドンで引退を明言していて、最後の3位決定戦で勝ったら客席がスタンディングオベーションで讃えていたところを見ていてちょっと泣けた。
そして、金メダルへの異常なまでの固執。柔道は日本の発祥であってお家芸であるわけで、過去には「最低でも金、最高でも金」と言う名言もあったのですが、柔道で出るからには金メダルは必達であると言う考えはもう終わりなのかな…って思った。銀メダルを取った選手でも悔しさがにじみ出すぎていて銀メダルでも銅メダルでも「金でなければダメだ」って言うところがあったし、メダルが取れれば御の字って言う感じではなく、むしろ悲愴感しか無いんですよね。ここで「2位じゃダメなんですか?」って話もあるんだろうけど、「2位じゃダメに決まってるだろ!」と憤怒する方もいるんじゃなかろうかと。あとは…選手の世代交代が上手くいってないとか、そんなことも思ったんだけどなぁ。
で、ついったーで「発祥国が敗れ去ることが、その競技が国際的に普及するための前提条件」と言う発言を見まして、なるほどなぁと思いました。いまや柔道は日本での競技人口は20万人程と言われていますが、フランスでは50万人以上*1、さらにはオランダやブラジルでも人気が高いわけで、もはや「柔道は日本のスポーツではない」んですね。柔道はスポーツではなく武道である、って言うかもしれないんですが武道もスポーツも関係ないんじゃないかと。もちろん武道ならではの礼節をわきまえることも大切ですがね。でも過去の栄光にすがっている場合ではなくて、日本の柔道は旧態依然であるわけで組織から立て直さないとならないし、日本柔道の現状を受け入れて、海外から学ばなければならないところがあるんじゃないかと。だからそうだなぁ…海外へコーチ留学に行くとか、選手が海外へ留学するとか、そういったことをやらなきゃならないんじゃないかなぁ。だけど「中学校の体育の授業で柔道を導入すべき」って話があったけど、そういう話は非常にナンセンスですよね。

*1:Wikipedia参照