リスナーと非リスナーの温度差

安藤裕子、体調急変のため国際フォーラム公演を中止 - 音楽ナタリー
ナタリーのニュースで最初に知ったんだけど、そのコメントの中に「Yahoo!ニュースとナタリーのコメントの温度差ありすぎ」ってコメントが気になったので、Yahoo!ニュースを見たら酷いのなんのって。ホント最悪だな。本当だったら「ご懐妊か…残念だけど仕方ないよね。母子共に健康であって欲しいですね」的にブログを書きたいところなのですが。だけど、音楽を知っているファンとそうではない連中のコメントの違いに怒りに近い感情を覚えたので。まずは、各種ネットメディアに寄せられたコメントから、いろいろとかいつまんでみます。

ナタリーの場合(Twitter経由でのコメント)

  • とにかく母子共に健康でいてほしい。
  • 距離がどうとかいうよりライブ自体が体に負担がかかるんだろう
  • 体調のことも考えたらつくばも中止にしてほしかったのに。
  • この気持ち以上に本人は無念だろう。ツアーも強行したかったんだろう。元気な赤ちゃんが生まれますように。
  • ホント無理しないでください。
  • 妊婦さんなんだから、ゆっくり休んだ方がいいって!ファンのためを思うのもわかるけど
  • 今は自分とお腹の中の赤ちゃんを大事にしてほしい。母になった歌声を聴きたい。
  • ツアーを全部中止にすればよかったのに。これは批判を浴びそう…

Mixiのコミュも見たんだけど、やっぱりファンからは気を遣う声が多かったです。体調が体調だからやむを得ないと。あと、ナタリーは音楽ニュースサイトなので、音楽に対して一定の理解があると見ています。そりゃそうだよなぁ…ファンはライブが見れなくて無念だけれども、ミュージシャンも歌いたかったんですよ。ツアーもファイナルを迎えたかった。医者からは怒られたとしても本人の意向を最優先させたのでしょう。あとは母子共に健康であって欲しいと、とにかく自分ひとりの命じゃないんだから…って思っていて欲しいんだけどな。だけど、ヤフトピにも「自分ひとりの命ではない」とか「ライブは中止にすべきだったのでは」といった意見が共通していたんだよね…

Yahoo!ニュースの場合

  • こんな時に出産しようとするなんて頭がいかれてるとしか思えない。
  • ツアーの予定があるなら避妊しろ
  • プロとして失格だろうが、気持ちが悪い。キャンセル料と動いているスタッフの金、全部責任もって自分で払えよ!
  • ツアーあるの1年位前からわかってたはずでしょ?ツアー後にいくらでも子作りできたはずなんで避妊しなかったの?計画性が無いよ
  • 妊娠はおめでたいこと。・・・なんですけど、この方の場合は軽率としか言いようがない。無理して赤ちゃんにもしものことがあったらとか考えないのかな?中途半端だね、ダメ親でプロ失格だよ。
  • 彼女は興行界というものがどういうものかわかっていない。会場料、音響、照明、楽器、舞台、警備、物販、会場整理、チケット販売手数料、ケータリング、制作、宣伝…どれだけの経費がひとつのコンサートにかかっているかわかっていないな。無責任だ。
  • あなたのためにたくさんの人間が動いてんだからさ…
  • あれ?コンサートやるって決まってたのに妊娠?避妊しなかったの?良くわからない
  • プロなら公演を優先して、オフに妊娠するくらいのことは常識
  • 本当の体調不良なら仕方ないけど、妊娠で公演中止って(笑)本人は休めばいいけど、周りのスタッフさんや関係者にとってはいい迷惑だよね。本当にデキ婚で仕事をドタキャンってバカみたい。でも元気な赤ちゃんは産んで下さい。
  • 無計画に妊娠するようなことするからだ。どれだけ人に迷惑かけてるかよく思い知ればいい。こんなんじゃ、おめでたいことでも「おめでとう」とはいえないし、言ってはいけないと思う。自分の仕事の責任果たしてないんだから当然だと思う。
  • 公演を見るために、有給休暇をとった人や、わざわざホテルや交通費をかけている人はどうなる?こういう無責任な興業は止めて欲しい。計画を立てていた人は、おじゃんよ。ま、二度とプロの看板さげて興業しない事だね。世間を舐めているよ。

他にも「才能はあってもツアー中に妊娠は非常識」とか「ライブの為に予定を空けていたファンにも失礼」とか「ミュージシャンである前に一社会人なんだから」とか「こんな事するんだったら引退しろ」といった意見が多かったです。いやーもうホントうんざりというか、見てて嫌になるよマジで…

確かに、急病や天災でツアーが中止になってしまったら文句も何も言えないのですが、妊娠したって言うと話が違ってくる。妊娠ってデリケートな問題であって、特に女性アーティストだと妊娠も含め女性の病気そのものが活動を左右してしまう。ツアーのスケジュールは1年ぐらい前から組まれていて、会場を押さえたりとかスタッフを確保したりとかグッズをデザインしたりとか、その他モロモロ大変な労力をかけるわけです。もし、ツアー前に妊娠が明らかになっていたら、その時点で中止にする事は可能だったはず。しかしツアー中に妊娠が発覚もしくは妊娠はしてたけど、つわりも軽くてツアー終わる頃には安定期に入るんじゃないか?って言う目測があったら考えは変わってたんじゃないかと。スタッフも、歌いたいと言う意思があれば続けさせたいと思ってたんじゃないか。
で、極論を述べますと仮にですよ、仮に流産してしまったとしたら、どういう風に思いますか?と。かなり飛躍してますが、もしそうなったらかわいそうだとか一切思わずに、「やっぱりプロ失格だ」とか「ざまぁ見ろ」とかって思うんですか?って。音楽活動をとるか母親になることをとるかって、究極の選択なんじゃないかと。だけど、音楽を続けたいって思うんじゃないのが自然体なんじゃないかなぁ。せっかく宿したのに、命は産まれてこなければいいんですか?ミュージシャンである前に社会人なんだから、自分を支えている周囲の全てに反省して責任を取れとかそういう気持ちもわかるし、目線を変えれば私もそう思う。

だけど、そうやってただ責任を問うとか批判しかしない連中はやっぱり音楽を聴かないんだよねぇ…音楽ニュースサイトとポータルサイトのニュースコメントの違いを見て愕然となりますね。何かニュースがあるとやれ何とかとあげつらえて叩くだけしか出来ないのかって言う。音楽を聴いたうえで批判的なことを思って、それで印象が悪くなってしまったっていう意見は仕方がないとしても、そうではない非ファンがガヤガヤ言うのは本当に見ていて怒りしか覚えない。よく考えれば女性の社会進出についての批判とも言えるんじゃないか。やれ女性アーティストの活躍とは言っても、根底に「女性は子供を産む為の道具」という古くからの価値観が現在にも根付いてるんじゃないか…なんて過激なフェミニストな事も思いたくもなるんですよ。産みたいと思えばそうすればいいし、歌いたいと思えば歌い続ければいいのに、世の中はそうは上手くいかないんですかねっっ。