Mr.Children tour 2011"SENSE"完全版(後編)

前編:d:id:daymixture02:20110516:1305527049

本編唯一のMCが終わった後は落ち着いたセットリストに移行していく傾向が強く、ここで座って一休み…かというポイントになりがちですが。特にここ近年はそれとは逆に後半のカオティックな編成への導入部分ともなっているので座れない。それぐらい充実したセットリストとも言えまして、まず最初は「HANABI」ですよ。いやー心を動かされる名曲。その後に続くのは「花-memento-mori-」「【es】〜Theme of es〜」。前半はステージ後方には紅い幕が下がっていたのですが、ステージ後方に特大LEDスクリーンが登場し、あらゆる映像を映し出し始めます。「花」の時は街の風景や水面や花の映像がシンメトリーに流されているのが印象に残りました。「花」ではステージの右側だけがLEDスクリーンを使っていたのが、【es】では中盤からいよいよフルスクリーンで登場します。しかし、この2曲はまだあくまでも導入部にすぎないのです。

そして、【es】の後は冒頭に現れた薄いスクリーンが再びステージを覆う。深海へ誘う泡や深い青をたたえた映像が入り「シーラカンス」。タハリーが冒頭のアコギを弾いてる。しかもよく見ると12弦ギターだよ!と興奮だけど…ジェンさんの「ワーンツースリーフォォォォ〜〜〜」カウントが一瞬客席の失笑を買っている。本人たちは超真面目にやってるんですよ!まぁいい。ここはステージ全体を覆うスクリーンと、ステージ後方にある巨大LEDがそれぞれ別の映像を映し出し、その二つのスクリーンに挟まれる形で演奏しています。幻想的で、薄いスクリーンが作り出す陰影がスクリーンが再び上がり、「I」へと流れ込む。LEDにはオープニングに登場した石仮面の男の子が再び登場する。この曲の映像が一番印象的だったなぁ、ダークなんだけどキラキラしていて怖いくらい。そして一瞬スクリーンに、目をひん剥いて睨みつけるように歌う桜井さんのドアップが映る。穏やかな曲では感情を込め瞳を閉じて歌う一方で、激情と表情が共鳴するような叫びのほうがドキッとする。もう、ある種のゾーンに突入した感じがした。客席も圧倒された中、次は「ロザリータ」。これもまた映像がフェルメールの絵のように美しかった。楽曲の中に潜むエロティシズムが静かに、しかし情熱を帯びてたゆたっている。

ここで桜井さんがお色直しのため一度ステージから消えます。その間はステージ後方の巨大LEDには様々なCGと「世界中に埋まっている地雷の数は1億個」「マッコウクジラは一生を1万km以上泳ぐ」と言った文言が英訳併記で映し出されている。この体の映像はどこかで見たことあるなぁ…そう、あれだ、「365日」!そして桜井さんは白い革ジャンに水色のTシャツで登場。桜井さんには白がよく似合うなぁ。「シーラカンス」からの流れで混沌としたダークサイドを表現していく中に「365日」で救われたところがあったかもしれない。最後の方にはカレンダーが月ごとにめくられていく映像が映っていたのが再び暗くなり、「ロックンロールは生きている」!真っ赤に染まるステージで、大画面のLEDに再び目を剥き、♪ライラライラライラライ♪でギターを置いて白い革ジャンも脱いでハンドマイクで歌う。この勢いは「フェイク」でさらに加速!とにかくここのゾーンは尋常じゃない。どカオスで激しい流れから、「ポケット カスタネット」へ。これもまたとんでもない曲で、前半は穏やかなのに後半は鬼のような変拍子&高速ビートっていうプログレッシブな曲でして、スクリーンには再び石仮面をつけた男の子が現れ、壊れた時計の軸が徐々に戻っていき、後半には宇宙まで飛んでいきそうな勢い空に舞い上がる。そして強烈な光の後に無数の星空が映し出された中で、「HERO」!もうヤバイ。この流れでこの曲が来ちゃったらもう涙腺が…涙腺だけじゃなくてありとあらゆる感情とか何かが満たされてそしてだだ流れしていく感じで、感動的。その場に立ちすくむしかなかった。
で、さらにここからのラスト2曲は更に更に畳み掛ける展開。「HERO」で放心状態になったあとは「擬態」。これが来るか!と言う感じのセットですなぁ。ステージでは、巨大LEDスクリーンが動いてその隙間から半アーチ状に立っている照明が動いて登場。巨大LEDスクリーンは再びメンバーの姿を映し出しています。「SENSE」の中でもリードトラック的な役目を果たしている曲をクライマックスに持ってくるっていうこの余裕は一体なんなんでしょう。桜井さんはやっぱりよく動く。そして最後のサビでは客も歌う!もっと血なまぐさいと思ってたのにー!!って思っていてもだ。そして本編ラストは遂に「Prelude」!!もう、鳥肌が立った。思わずひざまずいて、ステージに向かって祈りを捧げたくなった。ラストサビの前にスローモーションになって、桜井さんがマイクを離してシャウトする一瞬があるんだけど、その時にぐわぁぁぁぁぁ〜〜となった。ここまでのあらゆる感情がスパークして、自問自答という途方もない逡巡の果てにたどり着いた迫力を得て、周りは超盛り上がってるんだけど俺はその場にいて動けなかった…そして本編終了。

拍手が鳴り止まない中、アンコールだっ!!ここでもMCが入るわけですが、なんかあまり印象がないような…でも、「いつもの街の、いつもある横断歩道を思い浮かべてください。そこに飛び込んでいきます」と言うMCは印象的だった。カッコよかった…曲はもちろん「横断歩道を渡る人たち」なのです。そう言えば「Split The Differnce」ではキーになっていた曲です。やっぱりこの曲は今後への決意表明だよねぇ、っていう話を以前しましたが。*1そう言えば横浜に行った時のファーストインプレッションはSTDからの流れを汲んだセットリストかなぁって思っていたんだけど全然そうじゃないんですよね。アンコール2曲目は再び盛り上がる「Fanfale」!そして最後の最後はうわぁぁぁ「Forever」だぁぁぁぁぁ…イントロのピアノが鳴った瞬間から涙腺がやばい事になっていました。もう終わりかよぉぉぉぉ、という気持ちになります。そして、間奏ではオープニングから登場していた石仮面をつけた男の子が登場。ここまでの様々なシーンがリプレイする中、強烈な光と共に石仮面が割れたぁぁぁぁぁ!そして今までのシュールレアリズムの世界が一転して現れたのは、どこまでも広がる草原と川原のような森が広がる風景が………そして最後にツアータイトルがスクリーンに大写しになって大団円となったのでした…

で、ここでライブは終了しました。3月11日までは。

ここで再び照明が灯り、「もう1曲やってもいいですか?」との語りから、震災後ツアーの公演も中止になったりした中でメンバーとスタッフで会議を行った中でジェンさんから「曲を作って、その収益を義援金にあてたらどうか?」と言う提案があったものの、桜井さんはそれを聞いてはみたけどそういう気分にもなれない的な事を思ったんだけど、しばらくしてから「かぞえうた」と言うキーワードが閃いて、そこから「希望を数える」ということを思いついて曲が誕生したというエピソードが披露されて歌ったのはもちろん「かぞえうた」。ステージ後方の巨大スクリーンには歌詞が映し出され、他のスクリーンにも演奏している様子と、その下にも歌詞が映し出されている。歌詞はほとんどがひらがな表記なんだけど、途中で普通に漢字表記になるパートもあるんだけど、ひらがなの方が圧倒的に伝わってくるなぁ。全部が漢字表記だったらきっと痛々しくて読めないぐらいだったかもしれない。
もしも震災が発生せずツアーが続いていたら、この曲はもちろん生まれなかったし、ライブに対して別の感情を持っていたんだろう。震災が起こるまでの瞬間を思い浮かべる。そこには当たり前の生活があって、当たり前のように日々が続いていた。東北でのライブを楽しみにしていた人の中には、被災してCDも何もかも流されちゃったファンがいっぱいいるんじゃなかろうか。震災を経て、音楽の受け止め方が変わった。音楽をいつものように聴いていられる喜びがどれだけ大切なものなのかを痛感する1曲。

そうして、ライブは無事に大団円を迎えました。コバタケ氏が先にステージを去った後は4人で挨拶をして、笑顔でステージを去っていきました。あ、ジェンさんは踊りながら去っていきましたが。

ライブの総評とかツアー3公演のこぼれ話なんかは次回!(なんだよ)